今回のSpottingのテーマは「変わらないもの」。
もちろん、時を経たり、経験を積んだりすれば、考え方や行動や価値観は変わっていくと思います。当然時代も変わっているので、その時代感にあった生き方をするというのも、堅実な生き方のひとつでしょう。変化というのは、知識であり、知恵であり、創造でもある。そういう意味で、非常に価値のあるものだと思うのです。

ただ、同時に、自分の内にはどうにも変わらない部分がある。それが世間で言う長所的なものであれ、短所的なものであれ。本人が直そう直そうと思っていても、「こんなだから損をするのだ」と感づいていても、いつまで経ってもついてくるものというのがあると思います。厄介な部分もあったりするのですが、自分の内で「変わらないもの」が熟成していくうち、それがなんともいえず味のあるその人の個性になっていたりする。それは善悪の彼方にあるものだという気もするのです。

今は、なにかときれいに整えられているものが多いように思います。人を形容する言葉もとても過保護だし、一時代前より随分と放送禁止用語的なものも増えて、万事オブラートでくるんだような表現が主流です。「個性を認める」というのが、「悪いところに目をつむっていいところを探し出す」というとてもぬるいことに置き換えられてしまっている。ダメな部分もあって、いいところもあって、結果その人にしか出せない味がある、それが個性ではないでしょうか?



今回登場いただいた人は、自分だけの感覚を頼りに表現をしている人たちです。子供時分の真っ新な感覚や、感受性をそのまま保っていたり、流行だけに左右されずに真面目に必死に自分の道を模索している人々。

よく「わかるひとだけわかればいい」と言う人がいます。それはなにか作品を世に出す姿勢としてはあまりに寂しすぎる。独自の道を邁進する彼らはしかし、そういった人たちとまったく違う場所にいます。こうしてまっすぐに表現に挑み、ちゃんと世界と接点を持ちながら、現実から逃げることも、自分をあらかじめ安全な場所に避難させることもなく生み出されるその作品は、必ず何か大きな扉を押し開いているのです。

この号からデザインを一新しました。
アートディレクターを山田拓矢さんに御願いしたのです。

今まではこちらで比較的細かに指定をしてデザインをしてもらっていたのですが、今回は全部お任せしました。去年1年いろんな本に携わる中で、デザインの重要性を一層強く感じることになり、Spottingのデザインも見直すことになった次第。スキッとした思い切ったデザイン。

個人的には「すごい!」の一言だったのですが、大幅に変わったので反応が気になるところでもありました。が、本が出るとデザインに関して絶賛の嵐。「感動した」という声もいただき、山田さんには感謝の極み。



中でも作家のいしいしんじさんが、表紙、目次とゆっくりめくって、そこで手を止め、「このデザイナーさんはすごいですよ!」と興奮気味に言っていただいたシーンは、感動的ですらありました。


デザイン一新したことで、なんだか、新たなSpottingの在り方が見えてきているような気がしている今日この頃。自己満足に終わらぬよう、一層気を引き締めていい本を作ります。次号にご期待ください。